10月01日蒼き狼 斉藤敏雄の死

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ギタリストの斉藤敏雄(65才)が死去した。ここ数日の気温の激しい変化に耐えられなかったのであろう。街でひと月程前ギターリストのU氏に偶然あった。その時U氏から斉藤敏雄さんが危ないと言う話を聞いていた。斉藤敏雄愛用のギター「ホセ・ラミレス」を売りたいと言っていると言う話も聞いた。「終わり」だ!。
ギターリストがギターを売りたいと言っているのは終わりを意味する。

ここ何年も斉藤敏雄には会っていなかった。横浜元町に彼は住んでいたのでそんなに遠くではないのに何故会わなかったのか?私の方から言えば気軽に会える気持ちになっていなかったと言える。お互い仕事で共有する部分があれば会ったであろうが、それはなかった。斉藤敏雄は私のお弟子さんである。

斉藤敏雄さんはオートバイライダー、そして旅人であった。昔どこから見つけて来たポンコツの車に乗って彼はひとり出かけたりもしていた。その車に便乗して何度か一緒に旅行をしたことがある。静岡、京都、小浜、名古屋…。

若い頃の彼は自転車にのって日本一周を成功させた。自転車にギターを積んで出かけた。旅費がなくなるとアルバイトの口をみつけて何ヶ月か滞在してお金をため又自転車に乗る。日本一周は何年間もかかった。時々横浜にも帰ってくる事があったりして各地のギター事情を知らせてくれた。

未完のギタリスト斉藤敏雄。器用にギターを弾くことから彼はギターを始めた。独特の練習方法を編み出し修行をしていた。ギターの響きに対する感性の鋭さは彼自身をも振り回していた。どこにでも顔出してギターを弾きまくる。「斉藤さんにギターを渡したら弦がすり減る」と言ったギタリストがいる。

65才の斉藤敏雄さんを私は知らない。70才の斉藤敏雄さんを私は知らない。よぼよぼになってはいずり回ってギターを弾く幽霊のようなギタリスト斉藤敏雄さんを私は見たかった。それは想像するににも恐ろしく美しかったに違いない。
「死は終わり」を意味する。その先は無い。私のなかで長い間居座り続けたギタリスト斉藤敏雄は消えた。私はその先を生きる。世界はどうなってゆくのだろう?もっともっと面白いことがあるに違いない。私はそれを見たい。

「さようなら」斉藤敏雄さん。

斉藤敏雄略歴
 
1942.11.25 横浜生 射手座 B型  趣味:オートバイ
小川彰、松田晃演、兼古隆雄、各氏師事。県立音楽堂にて77、78、81、92、93年リサイタル。県立音楽堂の「音楽鑑賞の夕べ」にソロリサイタル。能楽師松井彬、薩摩琵琶荒井姿水両氏とパフォーマンス、「さくらファンタジィー」を94年チェコ・ハンガリー・ドイツにて95年スペイン公演。85年「詩と音楽の夕べ」を俳優高橋長英、女優中村たつの両氏とリコーダー小俣達郎氏と 共に公演、130回以上を全国各地で公演活動中。他俳優の夏木勲、大和田信也、大和田獏。シャンソン歌手元次郎、舞踏 ギリヤーク尼ケ崎の各氏と協演。
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by akiraogawaG | 2007-10-01 17:52 | ギター
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