丹生谷佳恵の演奏会

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丹生谷佳恵とヤナチェック四重奏団
08年9月15日(祝日)14時横浜上大岡「ひまわりの郷ホール」で丹生谷佳恵とヤナチェック四重奏団の共演による音楽会が開かれた。
プログラムはドボルザークの「アメリカ」ドボルザークの「ピアノ五重奏曲」ヤナチェックの「内緒の手紙」。

ドボルザークの弦楽四重奏「アメリカ」は四人の奏者ののりが悪い、凡庸な演奏に終わった。

そして丹生谷佳恵が登場した。演奏はまるで生き返ったように弾む、まるで美しい女性が加わったとたんに職場の雰囲気が変化するに似ている。

この音楽会で彼女は大きな成功を収めた。

演奏家とは賭博師のような仕事をしている。どんなに著名な演奏家もたった一度の演奏の失敗が大きく影響がでる。演奏の出来不出来はその後の演奏の仕事に大きく左右する。
今回の丹生谷佳恵の成功は彼女の今後の仕事に大きくプラスに働くはずだ。

丹生谷佳恵の演奏会を聴いている時「はた!」と私は気がついた、私が普段お付き合いしている音楽会は小さな音楽会だったんだ。「う〜ん」

ここで私が問題にしているのは大きいと言うのは会場の大きさだけではなく。演奏作品や演奏内容のことだ。
ドボルザークのピアノ五重奏曲は大きな演奏会向きに出来ている。ピアニストは小手先の器用な演奏が要求されているのではなく、曲全体の大きさを表現出来る大きなピアニストが要求されている。

ピアノは小さなものから大きなものまで拡張性の幅が大きい楽器だったんだと言うことも気がついた。

丹生谷佳恵の演奏はそれに十分応えていた。

今回のドボルザークの「ピアノ五重奏曲」はどのようになされたのであろう。丹生谷佳恵の弾くピアノはヤナチェック四重奏団のメンバーの演奏を引っ張っていた。彼女の独断場と言ってもよい。

それを裏づける話しを丹生谷佳恵さんから直接聴いた。

終演後ロビーでぼんやりしている彼女に会った、彼女の口から「昨夜の6時に初めての練習があって…」とまるで失敗の言い訳みたいな話し方をしていた。彼女自身どんな演奏になったか実際を掴めずにいたに違いない。あれだけの演奏と大拍手をもらっているのに…。

私もそんな経験をしたことがある。自分では夢中で演奏していたので自分の演奏がどんなものなのか分からずに終わっていたと言う経験。

合わせ練習が少ない時自分の音楽で勝負するしかない。基本的な事はここでは問題にならない。ディテールまでは打ち合わせが出来ないから自分の音楽をして相手がどう応えるかを感じるしか無い。

その時「素敵!」「困った!どうしよう」などと現場で感じるに違いない。

決められた楽譜と演奏スタイルがクラシック音楽にはあるが、それでも現場の即興性は生演奏で生まれる。

人間は機械ではないのだから…。そこがまた生の演奏会の聴きどころになる。

プロの仕事とはそうしたものだ。

丹生谷佳恵さんはこれからも良い仕事をするだろう。楽しみな事だ。

<写真はこの時の音楽会のものではありません。>
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by akiraogawaG | 2008-09-25 08:39 | クラシック音楽
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