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下駄をはいた靴屋

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去年の秋頃のことだった。鎌倉の由比ヶ浜通りにある「S靴店」の前を通った。店の前にお客を呼び込むための安価な靴が並んでいた。何気なくそれらを眺めていたら、店の主人が出てきて話しかけて来た。ふと、その主人の足を見たら裸足で下駄を履いているではないか!「靴屋なのに何で下駄を履いているのだ!」と言ってやったら「下駄、これが一番いいんだ」と言う。変な靴屋だなあ〜と私の関心度が一気に上がった。店の中に入っていろいろ物色していたらこの写真の靴があった。店の主人は「こいつは下駄と同じなんだ。靴底が平らで、裸足で歩いているのと同じなのさ、歩くってえのはこうした靴で分かるんだよ」と言う。「いくら」「二万五千円」「高いよ」「ぼくは一万円以上の靴なんて履いたことないよ」「いや安いよ、これは何度も修理が出来る。修理は俺がするからさ」「でもあんたが死んだらどうなるんだい」「よく言ってくれるね!先に死ぬのはどっちかね」
結局その日はなにも買わずに帰った。それから何となく気になる靴と靴屋になっていた。そして今年になって1月末、また靴屋に寄った。半分以上このドイツ製の靴を買う気であった。靴屋の主人は相変わらず裸足で下駄を履いていた。この靴は残っていた。この靴を欲しいと言ったら「今履いている靴でいいじゃないか不満があれば直してあげるよ」と言う。「なによ売りたくないのかよ」と言うと「そりゃ売りたいよ、だまされてみる!」と言う。「お店で埃がかかってしまった靴だ、五千円まけて二万円」「領収書はいらない」と言って現金で払った。それで私はこの靴を手に入れた。この靴、歩くとは?を学習させられる靴だ。なるほど裸足で歩いている感じだ。いまこの靴を履いて<歩く>を学習している。
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by akiraogawaG | 2009-03-03 22:46