人気ブログランキング | 話題のタグを見る

我等の時代

私は戦後の民主主義の教育を受けた。中学生の社会科の授業が好きであった。理由は先生がカッコ良かった。出席簿と白いチョークだけを持って教室に入ってくる。教科書は持ってない、殆ど教科書は教えない。まるで落語の名人のように民主主義の組織論を展開する。こんな社会が実現出来るのは何と素晴らしいと思った。
それから約半世紀、この国の社会は民主主義をどのくらい実現出来たのだろうか?
中学時代私の伯父が共産党から立候補して国会議員をしていた。この伯父は元々物理学の学者でいくつの訳本で知られていた人で、戦前巣鴨に入っていた。終戦と同時に解放されて政治家になった。
その伯父の選挙区が私の家族の住んでいたところだったので立ち会い演説会を聴きにいった覚えがある。その時、この人は何を言っているんだと感じた。
私の家のお隣に白髪の老婆が住んでいて、その老婆が私に「貴方の伯父さんに投票しましたよ」と言われた。私の家ではその伯父に誰も投票などしていなかったのでびっくりしてしまった。家族は「考えが違う」と言ってその伯父に投票しなかった。
その老婆は多分お知り合いだから投票したと言うのであろう。民主主義の子供だった私はこの時、この国の人達はまだまだと思った。
今も国会議員の成り立ちを見ると、そこには世襲制度があるのかと思われ程世襲が幅をきかせている。別に優秀な議員ならこの事情を悪いとは思わないが、国会議員になるのには地盤と言おうか、階級と言おうか、血族と言おうかが必要なのかと思ってしまう。
来月衆議院議員の選挙が11日に行われる。私はコネも義理も主義も信じていないのであるから選挙はいつも苦しい。それでも誰かに投票することになる。
by akiraogawaG | 2005-08-13 09:40
<< 八月のクリスマス Silvius Leopold... >>